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みなさんは紅茶や緑茶、烏龍茶などのお茶の味を気にしながら飲んでいますか?
味の基本は、甘み、塩み、酸味、苦味、うま味の5つで五原味と言われています。
ここに、渋みや辛み、さらには香りや見た目、食感、触感などが入ってきて人は味を判断しています。
お茶の場合は、うま味、渋み、苦味に、ほんの少し甘みが加わって味が構成されています。
今回は、紅茶・緑茶・烏龍茶の特徴を味という観点からお伝えしていきます。
紅茶・緑茶・烏龍茶の味を特徴づける成分
冒頭でも少し触れましたが、紅茶・緑茶・烏龍茶などのお茶は、うま味、渋み、苦味、そしてほんの少しの甘みで味が構成されています。
つまり、お茶の味を決めるのは、うま味に関わるアミノ酸、渋みに関わるカテキン、苦味に関わるカフェインの3成分となります。
これらは、紅茶・緑茶・烏龍茶のどのお茶にも含まれているもので、この3つの割合が異なることで、それぞれのお茶に味の違いが生まれてきます。
紅茶の特徴 ー「渋みの紅茶」ー
紅茶の味を決めているのは、おもにカテキン類です。緑茶のようなうま味はなく、口に含んだときにカテキン由来の爽やかなパンチがあるもの、ワインのように重厚な味わいのあるものが良いとされています。
紅茶の種類によってはポリフェノールが緑茶の1.5~2倍ほど含まれているものもあり、これが紅茶の味の特徴を形成しています。
酸化酵素がしっかり働いて発酵(付加)が起きると、カテキンの大半がテアフラビン、テアルビジンなどのカテキン酸化重合物に変化し、紅茶に10~20%含まれるようになります。
発酵過多の場合はカテキン酸化重合物が不溶化し、パンチのない間延びした味で、黒みの強い水色になります。
つまり、爽やかでパンチの効いた渋みやワインのような重厚な風味が楽しめる上質な紅茶には、テアフラビンなどのポリフェノールが豊富に含まれているのです。
「渋みの紅茶」と言われる理由はここにあります。
最近では、こうした紅茶本来の味を知らない人も少なくはありません。
「紅茶が好き」といって飲んでいる人でも、話を聞いてみると、口にしているのはフレーバーティーであることが意外と多いのです。
リンゴやピーチなどの果物や、ローズやサクラなどの花をはじめ、キャラメル、バニラなどフレーバーの種類は多彩で、毎年次々と新商品が発売され、ティーバッグでも気軽に楽しめるようになっています。
例えば、フレーバーティーの認識がなく、世界中で飲まれている代表的な紅茶がアールグレイでしょうか。
アールグレイの香りはベルガモットなどの果実を香料に使い、意図的に後付けさせた香りであって、紅茶の製造過程で自然に生成された様々な香り成分によって構成された香りではないことは覚えておくと良いかと思います。
緑茶の特徴 ー「うま味の緑茶」ー
3つのお茶の中で、うま味成分であるアミノ酸が最も多いのが緑茶です。
アミノ酸と言っても種類は色々あり、お茶には20種類以上のアミノ酸が含まれています。
そのうちの5〜6割を占めるのがテアニンです。
その他、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニンなどを含むことが明らかになっています。
日本における茶の生産量の7~8割は煎茶ですが、上級煎茶ほどアミノ酸含有量は高く、カテキン含有量は反対に少なくなります。
緑茶の最高峰である玉露の茶葉が含有するアミノ酸は100gに2~5g(乾燥茶葉当たり)もあり、緑茶のうま味にはアミノ酸が不可欠で、お茶を飲用するとホッとするリラックスにもアミノ酸の寄与率は大きいものと考えられます。
また最近、うま味の研究の分析結果で、アミノ酸のひとつであるアルギニンが多いと、おいしいお茶になるということもわかってきました。
玉露のように光を遮って栽培すると、アルギニンの生成量が増加します。
なぜ、アルギニンを多く含むと、味が向上するのか、そのメカニズムの解明はこれからですが、これがわかると、調味料の開発など実用的にも応用の広がる可能性を秘めていると思います。
烏龍茶の特徴 ー「香りの烏龍茶」ー
烏龍茶は、紅茶と同様、香りが決め手のお茶で、味よりも香りが重視されています。
味と化学成分の関係は、日本では紅茶を用いて盛んに研究されていますが、烏龍茶は不明な点が多く残されています。
烏龍茶の浸出液には、アミノ酸、カテキン、カフェインのいずれも少なくなっています。
緑茶のように蒸し製ではなく、釜炒り製のため、製造過程でそれらの成分が減少するのです。
したがって、香りが烏龍茶の特徴を決定づけることになるわけです。