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ロン
タリナイ
みなさんは緑茶や紅茶の色について不思議に思ったことはありませんか?
同じチャの樹からできるお茶にも関わらず、緑茶は爽やかな緑色で、紅茶は鮮やかな赤色のお茶としてできあがります。
こうした色の違いはなぜ生まれるのでしょうか?
今回は緑茶の緑色に注目して、どのような働きによって茶葉の色が変化していくのか、詳しくお伝えしたいと思います。
緑茶の緑色は葉緑素(クロロフィル)によるもの
緑茶は、太陽の光を浴びて育った緑色の茶葉を収穫して作られます。
この緑色の色素を引き出しているのが葉緑素(クロロフィル)です。
この葉緑素が緑茶を淹れた時に、日本茶らしい緑色を生み出すのです。
収穫期に摘んだ新芽は、そのまま置いておくと茶葉に含まれる酸化酵素によって変色していきます。
収穫後の茶葉をすぐに蒸して加熱処理するのは、この酸化酵素の働きを止めるためです。
蒸し上げられた茶葉には、葉緑素が分解されずに残ります。
栽培方法によって緑茶の色は変化する
緑茶の中でも最高級茶である玉露は、他の緑茶に比べて水色は非常に透明度の高い緑色をしています。
この美しい緑色も偶然の産物ではなく、玉露特有の栽培方法によってもたらされています。
玉露の茶葉は、収穫される20日以上前に簀子などに覆われ、90%以上光をさえぎられた状態で栽培されます。
直射日光が当たらなくなった玉露の茶葉の中では、どのようなことが起きていると思いますか?
突然弱い光しか当たらなくなった茶葉は、こうした環境の変化を察知して、
弱い光の中でもこれまでと同じようにたくさん光合成しようと、葉緑素を活発に働かせるようになります。
光の量が減少すると、茶葉内のクロロフィル含有量は増加します。
光合成の量を保つために、クロロフィルを増やして対応しようと、生命体として合理的な変化が起こっているのです。
それにより、玉露の茶葉の葉緑素は緑茶の2倍以上の含有量となり、玉露特有の色鮮やかで美しい緑色に変化します。
緑茶の色を決める葉緑素は酸化に弱い
葉緑素は酸化に弱く壊れやすい分子構造をしています。
緑茶の緑色は安定して色を保つ力がなく、不安定な色でもあります。
緑茶を淹れて急須に残った茶葉が、しばらく時間が経つと緑が薄れて茶色っぽく変色しているのは、まさにこの現象です。
茶葉が空気に触れて酸化することで、葉緑素はフェオフィチンという分解物に変化され、緑色は薄まり、酸化を示す灰緑色に変わっていきます。
和室の畳の色が年々色あせていくのも、畳の表面で酸化による化学反応が起きているからなのです。
抹茶はなぜ変色しやすいのか
玉露と同じ茶畑から作られる抹茶も、独特の香りと青草色が美しいお茶ですが、非常に劣化しやすく、色があせやすい特徴を持っています。
それは、緑茶が空気に触れる表面積が多い粉茶なので、他の緑茶と比べて非常に酸化しやすいためです。
抹茶はお茶として飲んで味わうだけではなく、抹茶を使った和洋菓子やアイスクリームなども人気がありますが、
あの抹茶らしいきれいな緑の色合いを長期間保つのは、葉緑素の化学構造からしても非常に難しいのです。
そのため、美しい緑色を保つためにも、とくに抹茶の保存には注意を払う必要があります。
まとめ
緑茶の緑色に注目して、お茶の色の変化についてご紹介しました。
緑茶の色変化で押さえておくポイントは以下のようになります。
- 緑茶の緑色の色素を引き出しているのは葉緑素(クロロフィル)
- 栽培方法によって葉緑素の含有量を増やせるため、緑茶の色は調整できる
- 葉緑素は酸化に弱く、壊れやすい分子構造であるため緑茶の緑色は不安定な色
今回は緑茶の緑色に注目しましたが、次は紅茶やウーロン茶の色の秘密についても書いていきたいと思います。